2019年12月23日月曜日

1月3日は外山毘沙門天の縁日です。

寄る年始を前に、日光に根付く、日光ならではの正月行事をご紹介します。日光駅など門前町より女峰山の方面を眺めると、二社一寺の東寄りに小さく突き出た山が見えます。それが外山(とやま)です。登山口のあるふもとまで、当館や二社一寺から、歩いても15分程度です。

この頂上には小さな毘沙門堂があり、1月3日に縁日が開かれます。お坊さんたちが待つそのお堂では、祈祷札、火除、金運祈願などのお守りの授与が行われるほか、福銭貸しという独自の習俗が続いています。

この福銭貸しというのは、お堂で100円を借りたら(100万両と表現しているようです)、そのご利益を頂戴して商売を繁昌させ、翌年同日に倍額200円を奉納して返すという習わしです。もともとは、この貸し借りを繰り返してどんどん倍額にしていく、というのをどこかで読んだか聞いたのですが、これまた確かな記述を見つけるに及ばず。

そもそも外山の毘沙門天は、日光開山と同時期に始まった瀧尾神社の鎮護のために置かれたものだそうです(『日光史』星野理一郎著)。毘沙門天は天台宗において本尊を守る位置付けであり、日光で天台修験が盛んに行なわれた時代にはその役割もあったかと思われます。さらに毘沙門天は商売や勝負の神様として崇められる面もあることから、福銭のような習慣も生まれたのでしょう。

また、『日光山志』という江戸末期にまとめられた地誌には、外山は将軍が日光へ参詣する際の遠望台でもあり、当時は宇都宮、壬生まで眺めることができたと書かれています。

現代では、地元の幼稚園の遠足地になっていたり、中高生はマラソン登山したりというような親しまれ方をしています。

お参りするうえで、ひとつ注意点があります。登山口から暗い林内に入るとすぐ、鳥居を数個くぐることになります。その意識のままお堂へお参りしてしまうと、つい柏手をうつことになります。ところが、ここは現在、日光山内二社一寺のうち輪王寺のものとなっていて、参詣するみなさんは仏式でお祈りしています。神仏習合の面影を強く残し、これも古い歴史を感じさせる一面です。

ふもとからは普通に歩いて片道1時間弱です。親子連れや、杖を使ってゆっくり上るご年配の方などの姿も見受けます。しかし、頂上付近は岩場で、手すりを伝って上り下りするようなところもあります。ある年は残雪が凍ってつるつるの場所もありました。途中、落ち葉が積もって滑りやすいところもあります。靴はしっかりしたものがいいでしょう。

多くの参拝客で混雑する二社一寺とは別に、地域に根ざした信仰を経験する初詣も趣きがあります。いかがでしょうか。



お堂の横からさらに奥へ進むと、大黒天や毘沙門天の素朴な石像が祀られる本来の頂上に至ります。その北側は眺望が開かれ、女峰山から大真名子山、男体山の山並みが眼前に迫ります。